物語は主人公が幼かった頃の話で、読んでいると自分のこれまで忘れていた記憶が顔を出してきて、自分の記憶はすべてしまわれていて、何かのきっかけがあると掘り起こすことができるというのは本当かもしれないと思った。
わけもなくほしくなりすぐさま母のところへ持って行って「これをください」といった。
母親に対して「これをください」という話し言葉を使っていたのだ。
私のようなも者がかんだのまんなかに生まれたのはかっぱが砂漠で孵ったよりも不都合なことであった。
古い人の話によれば若いときたいへん学問にこって本ばかり読んでいるうちに慢心して気がふれたのだという。
気がふれるとはなくとも、知識を持っていることを偉くなったと勘違いするような人間も少なくないので、気をつけたい。教養という形で蓄えていきたい。
そこへ運悪くひとりの先生がきていきなり私の帯をつかまえ やっ と掛け声をして宙にさしあげたもので朝から目の奥にいっぱいたまってた涙が一時にあふれだして両足をぶらぶらさせながらわっと泣き出した。
僕も小学校の1年生の時に何か悪さをして、廊下に立っていろと言われて一人だけ教室の外に出された。今まで悪ガキの代表みたいなやつらが何人か廊下によく出されているのは見ていたが、いざ自分が出されると急に心細くなり涙を流したのを思い出した。
こちらは松ぼっくりを拾うので始終小走りに追いつかなければならない。
これも小1か2の頃に、どういうわけだが、ただの石ころをたくさん集めてビニール袋に入れてそれを学校から家へ持って帰っていた。たくさん入れすぎた石の重さでビニール袋は破れてしまった。なきながら石を拾い集めていると隣に住むひとつ年上のいとこが一緒に集めてくれて、ぐずぐずと泣きながら家に戻ったという記憶が出てきた。