愛と幻想のファシズム(上)- 村上龍

小説の中でゼロが言う台詞を確認したくて3度目の愛と幻想のファシズム。
目的の台詞は上巻には出てこず、下巻に持ち越し。
ハードカバーで買うと、装置が横尾忠則氏。

「わたしも一度だけ行ったことがある、旅としては最高だよ、北極海を見るんだ、きっと何かを感じるよ」

チャイコフスキーのバイオリンコンチェルト

罠師アルバート・ジョンソン

実在の人物のよう

樵(きこり)

この男はおそらく未熟児で生まれたに違いないと俺は思った。未熟児が生き残るのは動物園の動物か人間だけだ。飼い猫でさえ未熟児には授乳しない。

これは俺の経験から来てるんだけど、すごい奴っていうのはそいつに何か例えば才能みたいのがべたっとくっついているんんじゃなくて、何か欠けてる場合の方が多いんだ。

映画が失敗してからカナダから帰るまでゼロとフルーツは音信が途絶えたままだった。相手も寂しかったのだとわかって、フルーツは嬉しかったのだろう。

完全失業率が4.5%を越えたことを示すように

労働力人口(15歳以上の働く意欲のある人)のうち、完全失業者(職がなく、求職活動をしている人)が占める割合。
2020年4月 日本 2.6% アメリカ 14.7%
2020年5月 タイ 9.6%
今のタイは、この物語で描かれている日本よりも数字は悪い。タイの場合は、田舎では飯が食えてしまうのだろうか。だとすると職についていなくてもひょっとすると幸福に暮らしていくことができるのかもしれない。

誰でも幸福になることはできる、だが貧乏人には快楽はない、民主主義の世の中でもそれは同じなのに、今の貧乏人は幸福だけでは足らないみたいで快楽を得ようとしている、そんなもの絶対手に入りっこないのにな…。

麝香(じゃこう)

男達は共同で獲物を追い、女達は子供を育てながらその帰りを待っている、生活がそのままよろこびとなるような社会だ、

人間は、いやなことをやっていくと、必ず病気になって、生きのびることができないようなからだの仕組みになってるんだ

だがこの頃すでに俺とゼロは時田史郎を逆に利用し続けるための話し合いをたびたび持った。将来面倒なことになるような契約は交わさないといった程度のものだったが、

自殺なんかした奴のことっは忘れた方がいいぞ

山岸良治が話の途中で俺から視線をそらすのは、照れだ。

経営者の特質は白痴性と情緒的なことだ、といつかゼロは言った。

ボクは若い頃白痴性を持っていて、情緒的だったが、今はそうではなくなったと思っている。ゼロのいう経営者の特質は持っていないかもしれない。

繰り返すが

大切なことは繰り返そう。

テロル

暴力行為あるいはその脅威によって、敵対者を威嚇 (いかく) すること。恐怖政治。テロ。

科学的で、単純なものでなければならない

恐怖に勝てるのは興奮だけなんだよ

トウジ、いいか? 今の父系社会っていうのは本当はすごく不自然なんだ、母系社会の方が自然なんだよ、

タイの一般層は母系社会に見えるよな。政治家なんかは別だけど、インラックって女性首相はいたな。タクシンの娘だから操り人形なのか何かしらないけど。

母系社会っていうのは生まれてくる子供の父親が誰だかわからない社会だろ?

奢侈品

しゃしひん – 必需品以外の物。ぜいたく品。

だまされてこき使われるためだけに生きてる奴がいっぱいいる、そいつらに邪魔されずに生きなきゃだめだってね

「裏切るってのはどういうことかな」
「価値観とか態度を兵器で変えてしまうんだ」
「誰だって変える時はあるよ」

いいか? 好き嫌いってのは一番大事なんだ、それはもう理屈じゃない、カレーライスが好きだっていうのもバーボンが好きだっていうのも、絶対に説明がつかないことなんだよ

「人を裏切るのは気分が悪いものだ、そうだよな、誰だって人を裏切るのは嫌いなはずだ、だから嫌いなことを普段やっていないやつ、つまり奴隷じゃない奴は、とりあえず信頼できるんだ」

威す

おどす

飢えは、それが強烈であればあるだけ、僅かでも充たされると喜びに変わる。そういう人間は他人と契約で付き合おうとするから確かに経営者に向いているかも知れない。だがその程度では経営する企業を巨大にすることは出来ない。巨大企業の経営者はすべてに恵まれていなくてはいけない。リスクを負ってはいけない。

男の容量を決定するのは、その二つだ。情報と、快楽。

金持ちはケンカをしない。ゆう然と見ているだけだ。

完璧だよ、みんなプライドを持ってる、プライドを持った人間は強いよ、まあ、うまいものも時々食わせてるしさ、女は厳禁だけどね、

努力して手に入れるものに価値があるというのは、芸術家とスポーツ選手にだけ言えることで、貧乏人には当てはまらない、嘘なんだ

山岸良治は俺と同じで、人間の集中力・闘争心も地球の資源も、有限なのだと知っている世代なのだ。

小綬鳥 

こじゅけい

契約だ、相互依存のシステムを作っておけば、侵略は起きない、政治のい・ろ・は、だよ、

話し合いにおいては情報の多い方が勝つとは限らない。だが使い方を心得ていれば、情報の多い方が圧倒的に有利だ。

いや、予算案とASEAN会議で忙しくて、下らないんだが、これが仕事でね、

アストラカン

アストラハン地方に産するカラクール種の子羊の毛皮。 柔らかい巻き毛が特徴。 また,それに似せてつくった毛長のパイル織物。

クロポトキン

ピョートル・クロポトキン

身近な人間が死ぬのは悲しいことだが、物理的に灰になってしまえば忘れることができる、発狂者は生き続けるからな、忘れれないんだ、こんなに悲しくて憂鬱なことはない…。

認知症の親と近いものがある。

ロボトミー

英語から翻訳-ロボトミー、またはロイコトミーは、精神外科の一種であり、脳の前頭前皮質の接続を切断することを含む精神障害の神経外科的治療です。脳の前頭葉の前部である前頭前皮質との接続のほとんどは切断されています。 ウィキペディア(英語)

すごい事件が。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ロボトミー殺人事件

ジョナス・メカス、ケネス・アンガー

俺達はすべての不安をとり除いてやり、人格を認めてやり、必要な存在なのだとおだてあげ、仲間として共有した甘美な過去を思い出させてから、発狂させた。精神的拷問の常套手段だ。

「男と女って、尊敬し合うものなのか?」

オショロコマ

お箸以外は持ったことないいうのは、成金の子供だけだわ、本当の財閥は、ちゃんと生きていけるようにしっかり教育するのよ」

天才的な宣伝家がいなければ権力は固まらず、維持できない、あんたにはゲッペルスが必要だ、いるか?

目の前に浮いているくそみたいにふやけたオレンジを食え、

骨髄を吸った

ラップ人

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