静物画 – エリカ ラングミュア、高橋 裕子(訳)

絵画芸術のことを体系的に学んでいないので、興味のあるところをその都度掘り下げていて、もともと静物画は相性がよく、上手とは言えないまでも何かがあると感じていたが、デッサンを始めてからは身近なものになり、今も興味がある分野である。

カラヴァッジョの破天荒な生き方を読んで面白かったのだが、実はこのカラヴァッジョの「果物籠」という静物画が静物画の歴史的にも評価されていたり、存在はもちろん知っていたポール・セザンヌの何が評価されていたのかが分かり、点が線になった。当時芸術の舞台となっていたパリで「パリをりんごひとつで驚かせる」というような事を言っていたようだ。

絵を描くこととは別に、絵画の歴史を紐解いていくのも大変に興味のそそられるところだ。

1311年にかかれたというドゥチオの「受胎告知」などをみると、技術的にはそれほど大したものでなく、今の私の方がうまいくらいかもしれない。
それが1540年に描かれているマリヌス・ファン・レイメルスワーレの「二人の収税史」になると、もうすごいレベルに達している。450年以上前に描かれた作品。

もちろん上手い下手なんてのは、良い悪いとは別の話だが、やはりこういう時いつも「Not skill, but skill」と言っていたクリス・ペプラーの言葉を思い出す。

伝えられるところでは、カラヴァッジョは、「私にとって、花をうまく描くことも人物をうまく描くことも、骨が折れる点では変わりない」と語ったそうだ。

いいねぇ。

画家は描かれる対象がどの距離から見られるかということだけでなく、どの高さから見られるかも決めなければならない。視点を高めに設定すれば、個々のものはほとんど重なることなく、はっきりと見えるだろう。同時に、それらを互いに関連させて、全体の大きなまとまりを生み出すことも容易になる。

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