「デザイン思考」を超えるデザイン思考 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文 – 濱口 秀司

デザイン思考(Design Thinking)という言葉を世に広めたのは、IDEOのCEOティム・ブラウンとされている。・彼はデザイン思考を[デザイナーの感性と手法を用いて、顧客価値と市場機会の創出を図るもの」と定義した。

つまり、狭義のデザインに留まらず、ビジネス上の問題解決などを設計する手法としてデザインをとらえ始めたのである。

さらに、ここ10年で興味深い変化が起きている。それは「ストーリー価値」の台頭である。顧客は意味性を重視するようになっているのだ。
たとえば、いま米国で最も売れているBeatsというヘッドホンは典型例である。ビーツにはまず、低音が素晴らしいという機能価値がある。また、ファッション性も非常に高い。さらにこれは、人気ラッパーかつプロデューサーのドクター・ドレー公認のブランドである。彼が、音楽ではなく音づくりを始めたというストーリー性も加わり、爆発的ヒットを記録している。

時代とともに、技術やデザインの差異から生まれる競争優位性は、コピーという攻撃を受けた際にポジションを守ることが困難になっているが、ストーリー性だけは、コピーされてもオリジナル価値が揺るがない最後の価値である。そのストーリーとひもづけることで、デザインと機能の価値を拡大することができるのだ。

人間は視覚的な生き物であるため、まずはデザインを認識する。

3つの価値を伝えるためには、デザインは一目でわかるもの、機能はそのポイントを3つ程度で言えるもの、ストーリーは誰でも語れるものであることが肝要である。

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