カンブリア宮殿 村上龍の質問術 – 村上龍

日本へ戻っていた1週間は、ほとんど全く読書をしなかった。両親との時間や仕事を片付けたり、あとは間違って契約しているamazon primeの1年契約があるので、日本のドラマと映画を見ていた。「結婚できない男」というドラマに、当たり前にシンパシーを感じ、その後阿部寛の出ている映画を何本か見た。

経営者やお金の本を何冊か読んでいると、「お金とは信頼である」とか「サービスが先で利益は後」というような言い回しが出てきて、それはつまり、誠実に良い仕事を続ける、ということだと思うのだが、こんなことは当たり前のことで、人生をやっていくときに仕事に限らず、誠実に人のためにを考えることが大切だ。後は、仕事にしろ、何にしろ強い信念が必要だと思う。画家もしくはアーティストでやってみたいと考え、仕事をやめ旅をしながら絵を描いて、日本へ戻ってからもそういう活動をしていたが、今思えば、絶対にこれで生きていくんだという想いは薄かったのだと思う。今、こうしてデザイナーとしてバンコクでやっていくことは、続けていきたいと考えている。もちろんダメであれば、他に生きていく道はいくらでもあるから、そういう方向にシリアスに捉えているわけじゃあないし、間違いなく続けられるという気がするから、きっとそうなるだろう。

一般に言う成功とか失敗とかがあり、入ってくる金が増えてくれば生活の質をあげることができて、やはり金はないよりもあったほうが良い。しかし、よだれを垂らして金を求めている人達もいる。それで得た金が成功と呼べるのかどうか。自分の人生をかけて何かをやっている人間がいるとき、その時その人は成功していると呼べるはずだ。

ただ、コスト削減というのは利益を出すためにやるわけではないです。投資のために節約をするんです。たとえば無駄を省いて、そのお金を使って技術や新商品への投資に回すのであり、原価低減というのは目標がなければうまくいきません。目標があればみんな納得します。

※原価低減=コストダウン

会長は、「今日のインドを作った103人」というリストに選出された。外国人は三人だけで、あと二人は、マザー・テレサと、元首相夫人である。

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば人は動かず」

「まず周囲の人を喜ばせる」。そのために自分を磨く。←教養。教養がない人はギブアップしやすい、確かにそうだがなぜだろう?

私たちが産業化して作れば作るほど、逆に芸術作品を作る職人さんたちは浮かばれてくるんですよ。

棒ほど願って針ほど叶う。

こうありたい、こうなりたい、こうなっていくというヴィジョンも強く持ち続ける。ヴィジョンに見えていることが叶うのは、どうしたってしばらく後になるので、非常に歯がゆくじれったく感じるだが、目の前のことをしっかりと続けると、願いは叶う。

何より現地との信頼関係を築かなければならないし、そのためにはその国・その地域の歴史や文化、宗教や法律や生活習慣、それに人間性を知らなければならない。それは、地道で面倒な作業や交渉の連続であり、気が遠くなるような忍耐力を必要とする。

僕もタイでやっているのだが、未だタイ企業との仕事の比率は圧倒的に少ない。当初タイマーケットを積極的に狙って行きたく、今もその気持ちはあるのだが、会社を続けていくために、まずは地固めが必要で一旦置いている。近い未来には改めて積極的にチャレンジをしていくつもりだ。

その厳しい仕事を、なぜ我々はやらなきゃいけないのかという動機づけをしなければいけないじゃないですか。本当に心に火を付けないとなかなか動いてくれないんです。それを考えた時に、非常に制約された環境の中で生きている人たちに対して、生活の豊かさということで貢献することができる。世の中の人のために貢献するというような自分の仕事の達成感、仕事をした結果の効果というのが、はっきりイメージとしてつかめないと、今の若い社員たちというのは一生懸命自分の人生を賭して仕事をするのは難しいと思います。

それは両親と魂を持った会社です。

男(子ども)は、大人になる過程で多くのものを失い、手放す。母親との一体感、幼いときに描いていたさまざまな可能性、性格の一部も手放すこともあるので、優れた役者はそのころのキャラクターをカウンセリングで再獲得したりする。手放したものを取り戻すのが大人の仕事。

この世でこれほどひどい環境はないというようなナチスの強制収容所で、生き残ったのは、心身壮健なプロレスラーのような人間ではなく、ユーモアを解する人間だった、というようなニュアンスのことが書いてあった。

「安さの決定的瞬間」

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